お持ちになられる眼鏡の違和感 ~その二~

前略

お待たせしておりました~その一~に続く~その二~は、「遠近両用レンズ」にまつわる話です。

もっとかみ砕くと40歳より前の方へ処方する遠近両用レンズ(アシスト系レンズも含めて)です。

最近ではスマートフォンやタブレットの普及、パソコンなどの手元の作業が多くなり、決して珍しくないレンズ提案となっています。

先日もご来店頂いた30代半ば・男性のお客様から
「眼鏡店さんにすすめられて1年くらい前から遠近両用レンズを使っています。まだ弱めの度数ですけど。」
と伝えられました。

さらに会話は進み
「仕事の8割が手元の筆記作業で、自宅でもよくタブレットを見ていると話したら勧められました。」

そのお客様は続けて
「使ってみると確かに手元の作業が楽なんですよ。遠くもしっかり見えますしね!」


という流れです。

私はそんな眼鏡にとても違和感を感じてしまいます。


なぜ違和感を感じるのか紐解いていきましょう。

基本的に目の筋肉(=調節力)は年齢を重ねるごとに衰えていきます。
必然的にその筋肉が衰えると、近くのモノが見づらくなります。

そもそも〝調節力〟って何ぞや!?

下の絵のイメージのように「ヒトは近くを見るとき、目の筋肉に力を入れて水晶体を膨らますことで、近くの本の字やモノなどにピントが合います。」

しかし年齢を重ねると、水晶体も固くなってしまうことに加えて、その筋肉の衰えから水晶体を膨らますことが徐々に難しくなってくるんですね、、、

例外なく、どなたにも起こりうることです。

絵のように40歳までは余裕があるものの、45歳を超えると腕が伸びきってしまいます。
50歳になるともはや怪物くんです、、、
ルフィと言った方がわかりやすいですかね(笑

この時点で違和感に気付いている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
先ほどのお客様(30代半ば)で絵の数値をあてはめてみると、14cm(少なくとも22cmまで)は手元に本を寄せることができるはず。

普通に考えたら遠近両用レンズの必要はないはずです。

ではなぜ30代半ばの方が遠近両用レンズが必要だったのでしょう?


そのお客様をゆっくり検査させて頂き分かったのですが、それは、その眼鏡の遠方視部分の「近視の過矯正」が原因でした。


過矯正=矯正し過ぎていること。
要するに、遠方を見るための近視度数を入れ過ぎていたのです。

当然、過矯正の状態は手元の作業をする上で支障をきたします。
近くを見るために余計に目の筋肉を使って水晶体を膨らませなくてはいけません。
そのため30代半ばであるにもかかわらず、遠近両用レンズが必要になってしまったのですね。

最終的な検査の結果、このお客様は遠方視部分の近視度数を2つほど落とすことができました。

もちろん度数を落としても視力は1.2以上あり、遠方も問題なしです。

遠方視の度数を落としたことが近方視でもいいように働き、遠近両用レンズを使うまでもない通常のレンズへとなり
「通常レンズ(単焦点レンズ)でも手元の見え方も問題なくよく見える!」
という結論に至りました。

目の筋肉2つ分の働きを、近方視するための〝力〟にまわせるので当然ですよね。

しかも単焦点レンズは遠近両用レンズよりお財布にも優しくなりますので、いいことずくめになります。

今までお話ししてきたことを数値化した 表を参考までに載せておきます。

年齢に応じた調節力と「目からどこまで近くに寄せることができ、文字をボケずに読むことかできるのか」の表です。

正しい遠方度数を処方されていれば、その30代半ばのお客様は「調節力5.5D(5.5パワー)を持っていて18.2cmまで本の文字を寄せることができる」といえます。

一つ注意点は、長いこと使える調節力(パワー)は5.5Dの半分の2.75Dとお考え下さい。
瞬間的には5.5Dが出るんですけどね。
長距離マラソンと100m走の違いと考えて頂ければわかりやすいかもです。

すなわち35歳のかたは2.75Dの〝力〟を常時使えるので、本までの距離が約36cmであれば長時間、問題なく文字を読むことができると言えます。

よって「遠近両用レンズは必要ない」という結論になります。


「近視の過矯正」が原因で30代半ばで遠近両用レンズを使わざるを得ない。
お持ち頂く眼鏡で決して少なくない症例です。

確かに目の筋肉(調節力)は年齢を重ねるごとに衰えていきます。
しかし、上記の表にあるように「年齢別正常値」という値で調節力は全人類、ほぼ個人差なく決まっております。

「手元の作業が多いあなたは、30代半ばで遠近両用レンズにした方が良い」

こういった提案処方は一度疑った方が良いかもしれません。

ポイントは、「遠方視部の度数が強すぎず、正確に出ているか」です。

表のように年齢に応じた調節力から考えれば、遠近両用レンズのスタートは基本的に40代前半で充分でしょう。

正しい検査方法でゆっくり検査すれば、おのずと正確な度数は出ます。

これがお持ちになられる眼鏡の2大違和感の二つ目です。

実は補足しなければいけないことがありますが、長くなってしまったので、それは次回以降の「前略ミルヒトより」に持ち越したいと思います。

補足1は30代より前に「遠近両用レンズ」を使わなければいけない症状の話、補足2は先ほどの表の「調節力の年齢別正常値」の話です。

次回もまたよろしくお願い致します。


前回(11月3日のブログ)~その一~の「乱視が原因で物が二重に見えていると思われている方」、
今回~その二~の「30代半ばにして遠近両用レンズを使われている方」、
一度、正確な視力検査・両眼視機能検査を受けられてはいかがでしょうか?

上記の方々はほぼ皆様、目の疲れ、身体の疲れ(特に首や肩)をお持ちです。
その症状が正確な度数(処方)の眼鏡で緩和できたらいいですよね。

当店でも米国式21項目検査に基づいた正しい検査を実施しております。
ご都合よろしければ一度、検査を受けて頂ければ幸いです。

草々

店主 水谷

名古屋市千種区春岡通6-7
眼鏡店 ミルヒト

# 名古屋 # 千種区 # 昭和区 # 眼鏡 # メガネ # 検査 # 検眼 #米国式21項目検査 # 遠近両用レンズ # アシスト系レンズ # 近視 # 過矯正 # 遠視 # 未矯正 #認定眼鏡士SSS級 # オプトメトリスト # キクチ眼鏡専門学校

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA