欲しがるね~

前略

いつの間にか年も明け、2020年が始まりました。

今年もミルヒト店主目線の「目と眼鏡の話」、私(妻)の拙い「新人・眼鏡店員の話」をこちらで展開させて頂きたいと思っていますので、お付き合い宜しくお願い致します。

     

さて、今回は私が主人にメガネを作る為の視力検査をしてもらった時のお話です。

メガネを作られたことがある方はお分かりかと思いますが、メガネ屋さんでは機械を使って視力検査をした後、その結果を元に仮枠という検査フレームにレンズを入れて実際の見え方を確認する作業があります。

     

検査用仮枠☟

その時もルーティン通り、仮枠にレンズを入れて外の景色を見て確認をしました。

     

・・・

   

う~ん、なんだか遠くがスッキリしない。

反対側の歩道にある電柱の看板の文字も読みづらい。できることなら一番小さい文字で書かれた電話番号までしっかり読みたいよね。

ってことでリクエスト。

「もうちょっと遠方ハッキリ見たいから度を強くしたいです!」

それに対する答えがこのセリフでした。

     

「欲しがるね~」

     

そう静かに告げられ、

矯正で遠くの細かい文字までハッキリ見えるようになるなら見させたっていいじゃん!と心の中で葛藤しましたが、乱視を微調整するのみで近視の度を上げてもらえることなく検査は終了しました・・・。

以下、主人によるこの処方の解説です。

ここのところずっと完全矯正値(#7A)より一段弱い処方できている。
40歳を過ぎると、老眼の絡みから一段上げると手元の作業、特にスマホが使いづらくなるのは明らか。
一段上げて完全矯正値にして、そろそろ遠近両用レンズという選択肢もなくはないがもう少し先でも良い。
夜の車の運転も数えるほどしかない今、ほぼ同度数のコンタクトレンズを持っているなら充分である。
※完全矯正値(オプトメトリー検査でいう#7A)=一番視力の出る最弱度数

        

さて話は戻りますが、そのようにして作られたメガネを日々使っておりますが、お陰様で快適です。

日常生活で使う分には遠くの細かい文字を読むこともほとんどない為、車の運転はもちろん、デスク上の手元作業も何の問題もありません。

と言いますか、今こうしてわざわざブログの記事にしていますが、 ミルヒトが開店するまでそれが当たり前だと思っていたので、自分のメガネでの見え方に疑問や不安を持ったことなど一度もありませんでした。

ところがどうでしょう。

ミルヒトがオープンして7か月、初めて眼鏡店の店頭に立ち色々なお客様のお話を伺ってみると、この世の中に使えないメガネのなんと多いこと!!

ふたを開けてみてびっくりなのです。

この半年で出会った使えないメガネ達の一例です。

・若い頃に初めて作ったメガネが合わなかった。初めはいいと思ったのだが、常時違和感があり仕事でパソコン作業をすると頭ががんがんしたり気持ちが悪くなったりして結局使わずに終わった。自分にはメガネは使えないと思い、それ以降見えないのも我慢して裸眼のまま時が経ってしまった。(40代男性)

・新しいメガネのお渡しの日、遠くの視界はスッキリいい感じ。しかしお店を出てエスカレーターに乗ろうと思い下を向いた瞬間に視界が『グワン』ときた。なんとなくお店にも言いにくくてそのまま使っていない。(20代女性)

・遠くがよく見えるメガネが欲しかったのでお店にリクエストして作ってもらった。しかし実際使ってみるとすごく疲れ、やっぱり使えないので結局かなり古いのを使い続けている。(50代女性)

などなど。

最後のご意見は、私も主人の「欲しがるね~」に抵抗して強い度数を入れてもらっていたらそうなってしまっていたのかもしれません。

きちんとした眼鏡屋さんの意見やアドバイスは聞かないといけないのですね。

せっかく素敵なメガネを新調したのに、レンズの処方度数が合わなくて使えなくては元も子もありませんから。

      

メガネの処方、目の屈折の世界はとても奥深いものです。

まさに知識と経験がものをいう世界。

理論に基づいてしっかりと検査をする事はもちろん、その検査結果だけでなく、その方の年齢、性別、性格、仕事、趣味、生活スタイル・・・、様々な事柄を考慮して眼鏡屋さんはレンズを処方するのです。

素人が『より遠くまで見えた方がいいに決まってる!』と欲しがっても、きちんと説明をして最もバランスの良いレンズを処方し、日々ストレスなく使えるメガネを作ってくれるのが良いメガネ屋さんなのではないでしょうか。

(主人は『欲しがるね』発言の時、上記のような細かい処方の説明を私にはしてくれませんでしたが、ミルヒトにおいてはお客様のご納得がいくまでカウンセリングや説明をさせて頂いております!)

       

しかしそうは言っても、私がどーーーーーしても遠くまではっっっきりと見たいシチュエーションがあります。

それはコンサートに行く時です。

歌っているボーカルの方のお顔を、大きなスクリーンでではなく、生できちんと見たい!

笑うと無くなる目、増えてきたシワ、高音を出すときの首の血管まで!!

そう、そんな時はコンタクトレンズの出番です。

(コンサートが終わるころにはしばしばするし、目の奥が痛くなるけれど・・・)

度数はメガネとほぼ変わりませんが、メガネレンズが目からの距離があるのに対し、コンタクトレンズは角膜にくっついているのでその分よく見えます。

(ドライアイの私には厳しく、段々と瞼の裏にくっつく感じがしてくるけれど・・・)

でも本当に遠くまでよく見えるんです!

(手元のスマホをずっといじっていると疲れるけれど・・・)

一方、隣に居る主人はいつもと同じメガネ👓

『やせ我慢しちゃって、ボーカルの人の顔ぼやけてるんじゃないの~?!』

そう心の中で思います。

コンタクトレンズに双眼鏡のような役割を期待している、欲しがる私の小さな抵抗でした。

草々

水谷(妻)

名古屋市千種区春岡通6-7
眼鏡店 ミルヒト

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