2025年、暮れの綴り

今年も残すところあとわずかとなりました。
一年間の営業を終え、いつものカウンターに座り、静かに一年を振り返りながら言葉を綴る時間。
このひとときが新しい年へ向けての糧にもなっています。

おかげさまで日々、多くのお客様にお越しいただき忙しく過ごさせていただきました。
6年半前の開店当初を思い返すと、今のこの状況は、当時の私には到底想像できなかったものです。
感謝の気持ちしかありません。

こちら「前略ミルヒトより」は、なかなか頻繁な更新ができず申し訳ございません…。
Instagram(Facebook)やThreadsにつきましては随時更新しておりますので、
よろしければそちらも併せてご覧いただけましたら幸いです。



さて、2025年の私(店主)にとっての大きな出来事といえば、
JOAオプトメトリストの講師を務めさせていただいたことでしょう。

――はて? オプトメトリスト??

この点につきましては、この綴りと合わせて妻も「前略ミルヒト」にて詳しく記しておりますので、
ご興味のある方は是非そちらも併せてご覧ください☟

 

ここからは、今回の講師の件について少しお話しします。

今回のきっかけは、
オプトメトリストを取得されたばかりの方々に向けて、キクチ眼鏡専門学校の先生方から
“ためになる内容の講義をしてもらえないか”
というご依頼をいただいたことからでした。

私が選んだテーマは「症例解析」。
分かりやすく言えば、
見え方にお困りのお客様に対して、どのような検査を行い、どのような考え方で眼鏡処方へつなげていくのか。
その“道筋”を解説する内容です。

“引き受けよう”と決めたは良いものの、これがなかなか大変でした。
慣れない作業ということもあり、想像以上に時間を要し、
お店の通常業務と並行して進める必要もあったため、
正直なところ、スケジュールはかなりタイトなものでした。

ただ性格上、中途半端な講義だけはしたくありません。
せっかく時間を割いて集まってくれる後輩オプトメトリストさんたちに、
「講義を聴いて良かった!」と思ってもらえる内容にしたい。
そんな思いから、自分なりに全力でまとめ上げたつもりです。

後輩オプトメトリストの皆さんが近い将来、この内容を少しでも役立ててくれたら。
そして、その先にいらっしゃる「見え方」にお困りの方が、
一人でも多く救われるとしたら――。
そう考えると、自然と力が入りました。



講義終了後、皆さんからいただいた多くの質問や拍手は本当に励みとなり、
「やって良かった!」と、心から思える瞬間でもありました。

また、自分自身にとっても大きな収穫がありました。
これは皆さまも経験したことがあるかと思いますが、
頭の中では理解しているつもりの事でもいざ言葉や文章にしてみると、
意外とまだ整理しきれていない部分が見えてくるものです。
それを一つひとつ見直し、噛み砕き、整理できたことは、
私にとって非常に大きな学びとなりました。




ここからは、少し専門的な話になります。
ご興味のある方は、お読みいただければ幸いです。

今回の講義の中身について。
先も記したように「症例解析」なのですが、
以下の①②③は、当店が日常的に行っている視力検査の内容にも通じます。

正直なところ、ここまで実施している眼鏡店さんは全国でも1%未満ではないかと感じています。

それでも今回、このテーマを選んだ理由があります。
それは、
「これらを実施すると、お客様への度数処方が実際にどのように変わるのか」、
私も相当数の実際の視力検査を通して経験したことを、“事実として”示したかったからです。

① 屈折異常(近視・遠視・乱視)への対応
② 両眼視機能(両眼を適切に協調して使えているか)への対応
③ 目の健康と、きめ細やかなアフターフォロー
(将来にわたり、疲れにくい目を維持するためのアドバイス)

当店のお客様にご協力いただき、

・①のみを行った場合
・①②を行った場合
・①②③すべてを行った場合

この3パターンの実際の症例をもとに、
新オプトメトリストの皆さんとディスカッション形式で講義を進めました。

「①のみの場合と比べ、②、そして③と検査を重ねることで、
眼鏡の処方度数はどのように変化するのか」

「より良い眼鏡度数へ導くためには、
どのような検査が、どのタイミングで必要なのか」

実際に①のみを行った場合と、②→③まで取り入れた検査とでは、
「処方度数」は確実に変わります。

“処方度数が変わるとは?”

ひょっとすると皆さんにとっては不思議かもしれませんが、
人それぞれの目の機能や視環境(見る環境)に応じて適切な処方度数も変わりますし、
「誰が」検査をやったかで完全矯正値(最も最弱の度数で最もっ遠くがよく見える度数)は変わります。

長くもなりますし専門的すぎてしまうのでここでは細かくは記せませんが、
こうした点を新たなオプトメトリストの皆さんに肌で感じ取っていただけていたなら、
この講義を行った意味は十分にあったのではないでしょうか。

もちろんそれは後日、良好な結果だとお聞きして
お客様の眼や、見え方のためになると分かっていたからこそ、
伝えたかったことでもありました。


眼鏡処方 検眼データ 2


ここで改めて、「オプトメトリストとは何か?」について、
当店のお客様からも時折ご質問をいただくため少し触れておきたいと思います。

もともとこの資格は「認定眼鏡士SSS級」と呼ばれていました。
SSS級のほかに、SS級、S級という区分があります。

しかし制度改正により、2年ほど前から
「認定眼鏡士制度」は「眼鏡作製技能士制度」へと移行しました。

その際、

・SSS級、SS級 → 一級眼鏡作製技能士
・S級 → 二級眼鏡作製技能士

という形で整理されています。
国・眼科医会・眼鏡学会などが関わり、約1年をかけて話し合われた結果だと聞いています。

その中で、認定眼鏡士SSS級は
「JOAオプトメトリスト」
という独立した資格として位置づけられました。





なおJOAオプトメトリストになるには

【筆記試験】
・眼鏡光学
・眼科学
・眼の解剖学
・視科学一群
・視科学二群
・生理光学
・理論光学

【実技試験】
・米国式21項目検査
・口頭試問

これらすべてをクリアする必要があり、
非常に難易度の高い資格といえるでしょう。



一方で、「眼鏡作製技能士」はというと、

【筆記試験】
・眼鏡光学
・視科学一群
・眼鏡光学

【実技試験】
・一般的な視力測定
・レンズ加工
・フィッティング

が中心となっています。
試験内容からも、目指す方向性の違いを
何となく感じ取っていただけるのではないでしょうか。

私は「オプトメトリスト」と
「一級眼鏡作製技能士」の両方の資格を取得していますが、
「見え方」にお困りの方にとっては、
オプトメトリストによる検査の方が、
より細やかな対応が可能だと考えています。

「見え方」でのお困りごとを具体的に挙げると、
・信号や看板が見づらく、運転が(特に夜)しづらくなった
・眼鏡を掛けると遠くは見えるが、近くは外した方がよく見える
・最近眼が疲れやすく、特に読書やパソコン業務を長時間続けるのが難しい

などといった、よくある状態から、

・右目と左目の見え方の差が大きいと感じる
・遠くと近くを交互に見る際、ピント調節がしづらい
・モノがぼやけるだけではなく、二重、または分離して見える
・過去に眼鏡に挑戦したものの、自分には合わず、結局あきらめてしまった

など、処方が難しい状態まで。

こういったこと全般ですね。

 

 

余談になるかもしれませんが、一つ心に残っている出来事(質問)があります。

今年の夏ごろ、メディア企業knotの岡田代表より、
「ハタラクラボ」というコーナーで
インタビュー取材を受けた際のことでした。

「眼鏡店って、資格がなくてもできるんですね!?」
「今の今まで知りませんでしたけど、それで大丈夫なんですか?」

と岡田代表に驚かれたこと。
答えづらい質問なのですが確かにその疑問にも頷けます。

これはお客様からも時折いただく質問ですが、
その際私がお伝えしているのが日本の眼鏡業界の成り立ちについてです。

眼鏡という目の健康を守る大切な道具が、
長らく「商業」の側面に偏って発展してきた中で、欧米諸国に比べ、
「医療」という視点での資格制度の整備が後回しになってきた歴史があります。

今でこそ、認定眼鏡士制度に始まり、
オプトメトリスト制度、
眼鏡作製技能士制度、
さらには医療分野の視能訓練士など、
眼鏡に関わるさまざまな資格が存在しています。

しかし、消費者の皆さまにとっては分かりにくい状況であるのもまた事実でしょう。

ただ一方で、こうした資格が整備されてきているということは、
眼鏡を「医療的側面を持つ道具」として見直す動きが少しずつ進んできている証でもあると感じています。

あるオプトメトリストの識者の方から、
「ようやく20世紀初頭のアメリカの段階に日本が差しかかってきた」
というお話を伺ったこともありました。

決して早い歩みではありませんが、眼鏡業界が前進し、
それが皆さまの「目の健康」にとってより良い環境につながることを願い、
今年の「前略ミルヒトより」を締めたいと思います。


少しお堅い話が続きましたが、
もちろんこれらの資格の有無だけで眼鏡店の優劣が決まるわけではありません。

最終的に最も大切なのは、
お客様に寄り添う気持ち、そして眼鏡を愛する気持ち。
私はそう考えています。

拙い文面ではございますが、
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

まもなく2026年を迎えます。
おかげさまで当店も、開店7年目となりました。

創業当初から変わらず、

【似合うフレーム選び】
→【両眼視機能検査(米国式21項目検査)】
→【丁寧なフィッティング(調整)】
→【見栄えの良い眼鏡加工】

この流れを大切に、これからも時間をかけて取り組んでまいります。

「似合うメガネが分からない」
「オシャレなメガネが欲しい」
「見え方に悩んでいる」

そうしたお声に寄り添いながら、
皆さまの眼鏡に関するお悩み解決に、誠心誠意尽力していく所存です。

なお、お一人お一人にしっかりと時間をかけて対応させていただくため、
「ご予約優先制」と「店内お二組様まで」のルールは来年も継続いたします。

当店は、コミュニケーションを大切にする眼鏡専門店です。
せっかくお越しいただいたにもかかわらず、
会話もできず十分なご対応ができないことは避けたい。
そのためのお願いとして、どうかご理解とご協力をお願いいたします。

ご予約はお電話やメールにてお気軽にご連絡ください。
店休日につきましては、当店ホームページやSNSにてご案内いたします。

※メールアドレスを含めたお店の情報は以下☟


さて、毎年恒例となってきましたが、今年の暮れは、
私の好きなアーティストの一つ、OASISのこのナンバーを贈ります。

「Whatever」

今年、16年ぶりに再結成を果たしたこともあり、この曲を選びました。

歌詞の一部を抜粋すると、
「お前はいつも、人の目ばかり気にしているように見えるぜ。
自分をしっかり持てよ。難しいことじゃないぜ。」

周りと比べず、自分に正直に、ありのままでいることの大切さ。
OASIS(ギャラガー兄弟)らしいエールです。

1994年のリリース当時、私はまだあまちゃんの大学生。
BEATLESまでさかのぼり、どっぷりUKロック、いやUKカルチャー全般に
ハマるきっかけをくれたのは、間違いなくOASISでした。

眼鏡屋をやっている今、当時とはまったく違う感覚でこの歌詞を受け取っていますが、
それでも変わらず元気と勇気をもらえているのは言うまでもありません。

先日のJAPANツアーは見事に外れてしまいましたが、
また次の機会があることを信じて楽しみに待つとします。

よろしければ、ぜひ聴いてみてください。



みんな若いですね…。
30年も前のPVですので、そりゃそうですよね。

それでは皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。

来年も、
ファッションとしての眼鏡、
快適な見え方をつくる道具としての眼鏡。
オープン当初からのこのコンセプトをぶらすことなく、
お一人お一人にフィットする〝最善〟の眼鏡を、
丁寧に、そして真摯にご提案していきます。

2026年もどうぞよろしくお願いいたします。

早々

店主 水谷

 

名古屋市千種区春岡通6-7
眼鏡店 ミルヒト



【年末年始の営業日のお知らせ】

12/30(木) ~ 1/2(日) お休み
1/3(月) AM10:30~PM7:00 まで営業
1/4(月) 店休日
1/5(火) ~ 通常営業



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