前略
テレビ番組?
金曜ロードショー?
ワイドショー?
お客様からそう言われます。
確かに~!
文字で見ていた私にとっては意外なご反応でしたが、お客様の気持ちも分かります。
こんにちは、水谷妻です。
今日のテーマは「金曜ワイド」ではなく、「近用ワイド」のレンズです。
「前略ミルヒトより」をお読み頂いている読者の方々は、きっともうレンズの知識も豊富になってきているでしょうから、ひょっとしたらなんとなくお分かりかもしれませんね。
私もレンズの世界はまだ謎だらけではありますが、この文字を見てなんとなく予想がつきました。
近用部分をワイドに見ることができるレンズなんだろうなぁと…。
しかし細かいことはまだまだでしたので、今日は一緒に学びながら詳しくご紹介できたらと思います。
昨今の状況から、ステイホームの時間が長くなったり、ご自宅で在宅ワークをされる方も増えているのではないでしょうか。
そのお家時間ですが、皆さんは何をして過ごしてらっしゃいますか?
お客様にお伺いすると、女性の方は編み物やミシンワーク、お裁縫といった針仕事をされる方、男性の方ですとDIYなどのクラフト作業やゲームといったお声をよく聞きます。
男女共に多いのは、読書やパソコン・スマホ作業でしょうか。
現代社会においてパソコンやスマホは生活の中で切り離せません。在宅ワークともなればパソコンは必須ですものね。
さて、そんな場面で活躍するかもしれないのがこの近用ワイドレンズ。
ただし、お若い方々には必要ありません。
お手元の見え方が辛くなってくる50代以降の皆様には特にオススメのレンズです。
そうなると、私の頭の中には『老眼鏡』がよぎります。
子供の頃、おじいちゃんが新聞を読むときにだけかけていたあのメガネ。
あれが確か老眼鏡だよな。
老眼鏡と近用ワイドのメガネって一緒なの?
実はこれが全く別物なのです。
難しく言うと、老眼鏡は単焦点レンズ、近用ワイドは累進レンズを使っています。
単焦点とは文字通り焦点が1つのレンズ。
1つの度数がレンズの全面に施されています。
1枚のレンズに1つの補正機能を持つレンズということですね。
いわゆる「メガネ」という一般的な理解はこの単焦点レンズだと思います。
そして累進レンズ。
こちらは1枚のレンズが2つの度数とその間の度数で構成されており、遠方、中間距離、お手元まで見えるように設計されたレンズです。
見たい距離や便利な距離は人それぞれですので、各人に合わせてレンズのタイプを選ぶことができます。(遠近両用、中近両用、etc.)
ちなみに私が子供の頃、おじいちゃんが使っていた遠近両用メガネはレンズの下の部分に小窓のようなレンズが入っていて、見るからに【遠近両用】でした。
が、今は見た目では分からないようになっていて、人様から「老けて見える」ことはありません!
今回のテーマの「近用ワイド」は、この累進レンズの部類になります。
要するに、1枚のレンズの中に複数の度数が組み込まれているのですが、得意とするのが近用作業距離という事なのです。
では、具体的にどのような場面で活躍するかというと・・・
いわゆるデスク周り、お机周りの作業になります。
しかも、お机に座った状態で目がキョロキョロ動く場面、すなわち
・パソコンを操作しながら手元の書類やスマホを見る
・複数のパソコンを使用し、モニターやキーボードをいくつか使い分ける
・お机の上にお洋服作りの型紙や新聞を大きく広げて視線を動かす
などといった場面が思い浮かぶでしょうか。
このようなお机周りの作業が長い方にとっては、その視線移動がストレスになることが多々あります。
そのストレスを軽減させ、目の疲れを和らげてくれるのがこの近用ワイド設計!
要するに、『近方の奥』と『本来のお手元』の間を視線移動させても違和感なくスッキリと焦点が合うレンズなのです。
当然のことながら視線が一点から動かない作業、すなわち読書のみ、裁縫のみ、スマホのみを長時間される場合は、単焦点のいわゆる『老眼鏡』の出番。
単焦点レンズは累進レンズよりも同じ度数が見える範囲が広くとれる為、スッキリ感もあります。
今回ご紹介した近用ワイドは、あくまでもお机周りで視線移動がある場合に適したレンズなのです。
視線移動と言えば、ご自宅や職場で机周りの作業をされている時にご家族や同僚に呼ばれ、顔を上げた時にその方のお顔が判別できるのは近用ワイド設計のレンズであり、単焦点レンズだとぼけてしまいます。
このように、ほんの数メートルのことですが、『近方の奥』まで焦点が合うことが意外と役に立つこともありますね。
…とは言っても、こればかりは使ってみないと違いも分かりません。
近用ワイドの他にも累進レンズには様々な種類があり、その方の生活スタイルや視環境、お仕事やご趣味の内容などによってお勧めできるものが異なります。
眼鏡専門店ではそれぞれの設計のテストレンズを用意しており実際にご体感頂く事が可能ですので、十分にご検討頂いてから最適なものをお選び頂くことができます。
ミルヒトでは問診から検査、このテストレンズを使用した仮枠チェックまでのお時間を十分に取り、ご納得いくまで比較検討をし、レンズの設計・種類をお決め頂いています。
お時間はかかりますが、メガネにとってはフレームのデザインのみならず見え方も大変重要な要素となりますよね。
その『見え方』においても最適なものをご提案できる眼鏡店として、これからも皆様の良い視環境の為に尽力して参りたいと思います。
今回ご紹介した近用ワイドレンズ、いかがでしたでしょうか。
ご興味のある方は是非一度お試しください。
ここ最近お客様やレンズメーカーさんから「ブログ読んでます」と温かいお言葉をかけて頂けることが多くなり、大変大きな励みになっております。
更新の頻度が落ちてきていますが、書きたいなと思う事柄はまだまだありますので時々覗いて頂けますと幸いです。
今回のテーマも、お読み頂いている方々にとって新たな発見になることを願って…
草々
水谷(妻)
名古屋市千種区春岡通6-7
眼鏡店 ミルヒト
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遠近・中近・近用ワイドなど、累進レンズの違いは図を用いて説明があるとわかりやすいですね。
近用ワイドレンズは、以前は近々レンズと言われていたので、眼鏡店によっては未だに近々と言っているお店がありますね。
愛川欽也の愛称ではありませんよ(笑)
最近は、バイフォーカルレンズをあまり見かけなくなりましたね。
しかし、長年、バイフォーカルレンズを愛用されているご年配の方には、累進レンズより良いみたいですね。
あるセレクトショップで、999.9とアランミクリのバイフォーカルレンズが入っているフレームを同時に見た時は、感動しました。
そんな、眼鏡マニアです(笑)
名古屋なのにカープファン様
いつもブログをお読み頂き誠にありがとうございます。
私共もたまにですが「近々」と言ってしまっております(笑)
仰る通り累進レンズの違いは図や絵で見たり、やはりテストレンズでご実感頂かないと分かりづらいかもしれませんね。
当店では遠近・中近・近用ワイドをそれぞれお試し頂くこともできますので次回、是非お試しになって下さい。
バイフォーカルレンズは最近は余り見なくなりましたが、確かに慣れてらっしゃる方にとっては使い易いと言われます。
見え方にとても興味がありますが、「小窓がついている」ため私含め人からの見られ方が気になる方が多いのも実情ですね。
バイフォーカルレンズのお話ができるとは、さすが眼鏡マニアさん!
いつもありがとうございます。
店主妻