前略
前回は眼鏡レンズにおける〝UVカット〟のお話しをさせて頂きました。
今回はその続編〝レンズカラー〟のお話しです。
サングラスをファッションアイテムとして考えると、フレーム本体のカラーはもちろん、レンズカラーも重要なポイントですよね。
フレームカラーと同色系にするか、反対色にするか。
また着るものや小物などとのバランスを考えて、カラーを決める方もいらっしゃるかもしれません。
今回は「ファッションにおけるカラー」ではなく、「機能におけるカラー」を紐解いていこうと思います。
この項目は何十年も前から理解されていたことですが、ここ数年でスポーツの分野や、目の生理学的な見地からも一気にクローズアップされるようになってきました。
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まずは基本の6色カラーにおけるそれぞれの性能をお伝えします。
[グレー系]
陽射しの強い日には最も眩しさを軽減してくれるカラーであり、 普段見えている視界のまま、自然に減光してくれるのでサングラスに慣れていない方でも使いやすい色です。
[レッド系]
物の輪郭をはっきりさせる、最もコントラストを高めてくれるカラーです。スポーツの際の起伏の見極めや標的の絞りやすさに特化しています。
[イエロー系]
晴天時には向きませんが、雨天や曇天時などの光量が少ないエリアが明るく鮮明な視界になります。
[グリーン系]
晴れの日はもちろん、薄暗い曇りの日にも使用できる万能的なカラーと言えます。 先に説明したグレーとイエローの中間的なポジションとお考え下さい。
[ブラウン系]
コントラストを高めながらグリーン系同様、晴れの日、曇りの日に使える万能的なカラーでもあります。先に説明したグレーとレッドの中間的なポジションとお考え下さい。
[ブルー系]
眩しさ対策には使い勝手が良いうえ、特にイエローライトを落ち着かせるので車のヘッドライトなどのチラつく強い光には特に強みを発揮します。
大きく分けるとこんなところでしょうか。
個人差は確かにありますが私もこれまでに試したところ、ほぼほぼ上記の感覚を得られます。
当店にもカラーサンプルがありますので、この感覚を外に出てお試し頂けたらと思います。
ここポイントです!
レンズカラーを決める上での大事なことは
〝屋外に出て試してみること〟
です。
「レンズカラーで景色の見え方がこんなに違うんだ」
と皆さん口をそろえておっしゃいます。
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紫外線によって色が変わる「調光レンズ」や、照り返しを軽減できる「偏光レンズ」が加わったとしても、上記の基本6色を軸に考えて頂ければ問題ありません。
また濃度(レンズカラーの濃さ)には触れていませんが、濃さによってカラーの基本性能も変わるわけではありません。
ただし濃くなればなるほど眩しさに対して効果を発揮する一方で、視力の低下は避けられませんから瞬間的な判断力は鈍ります。
夜間運転の際は、基本的に濃度25%未満のレンズカラーしかご使用できませんのでお気を付けください。
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ここからは私物のサングラスを交えて少し補足したいと思います。
《ドライブや旅行、ランニング等の軽めのスポーツ用》
Kodak 6カーブの度付き偏光レンズ
濃度60%のグレー系 + シルバーミラー
どんなシーンでも対応できる定番のグレー系で仕上げました。
偏光レンズにすることによりドライブ時の対向車や路面の照り返しを避けることができ、グレー系のカラー効果で旅行先でのナチュラルな風景が楽しめます☟
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《ロードバイク用》
Kodak 8カーブの度付き通常レンズ
濃度50%のグリーン系 + レッドミラー
天候や路面状況に左右されない機能優先の1本に仕上げました。
晴天から曇天まで万能に使えるグリーン系、また濃度50%はスポーツ時における瞬間瞬間に変化する状況を機敏に察知するためのギリギリの濃さと言えます☟
☟「ぐる輪サイクリング」ゴール直前のシーン。ばててますね(笑
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《カジュアルなタウンユース用》
NIKON 両面非球面レンズ
濃度80%から50%に変化するブルー系グラデーション + 裏面マルチコート
ファッション性を意識した1本に仕上げました。
裏面マルチコートとはレンズの裏面のみにマルチコート(反射防止コート)をかけ、表面にはかけない事で見た目のキラッとしたカッコよさを演出するコーティングです ☟
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最後に「ファッションにおけるレンズカラー」についてポイントを1つ。
先にご紹介した3本目をグラデーションにした理由もコレなんです。
「芸能人がかけているイメージで大きめのサングラスを買ったんだけど、サングラスが歩いているみたいでタンスの肥やしになっている、、、」
「旅行先で勢いでサングラスを買ったはいいが似合っていなくて、結局使っていない、、、」
と言われるお客様は多いです。
せっかく購入したのにもったいないですよね。
推測ですが恐らく「その大きめサングラス」のレンズは全面カラーではないでしょうか?
しかも濃いめのカラーで...
顔型のお話になりますが、日本人(アジア人)は欧米人ほど顔が長くないので、こと大きめのサングラスになると全面カラーは似合わないと私は思っています。
実際、使っていないサングラスをお持ち込み頂いて全面カラーからグラデーションカラーへ変更して、使い勝手が良くなりサングラスが好きになったケースは少なくありませんよ♪
※ただし60年代、70年代を意識したレトロなサングラスであれば全面カラーは賛成です。サングラスカルチャーの話になりもう一段階、深い話になってしまうのでそれはまた店頭にて。
使っていないサングラスがあれば、一度ご相談頂ければ幸いです。
レンズを工夫するだけで戦力になる可能性大ですよ♪
以上、もろもろ実用例などを交えてお話ししてきましたが、サングラスは実際、様々なバリエーションを使っている眼鏡屋さん(スタッフ)から購入するのがベストかと思います!
やはり実体験を元にしているので、長所も短所も分かっていてリアリティがありますよね。
「ファッション雑誌に載っていた」
「なんとなく格好良かったし、店員さんに勧められたので」
などの買い方は止めましょう。
タンスの肥やしになるのは勿体ないですから。
ちなみに私はロードバイク他、スキーもやっていますのでスキー場で使用するカラーレンズは昼間、ナイターを含めて色々試しました。
失敗談、多数あります(笑)
また野球に関しては、当店のInstagramやfacebookをご覧になっている方はご存知かもしれませんが、毎年1月に中日ドラゴンズの視機能検査(スポーツビジョン)にも検査員として参加しています。
実際のプロ野球選手の使用しているレンズカラーを元にアドバイスさせて頂けたらと思います。
☟中日ドラゴンズ根尾選手と私、深視力検査中。役得です(嬉
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レンズカラーの世界は実に奥が深いです。
「使うシチュエーションに応じて、レンズカラーを決める」
それもまたサングラス作成の醍醐味の一つかと思います。
今回の内容が皆さんのサングラス選び、カラーレンズ選びの際のアイディアの足しに、少しでもなれば幸いです。
草々
店主 水谷
名古屋市千種区春岡通6-7
眼鏡店 ミルヒト
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